分 煙 壁 新 聞 3.   1998.5.1 分煙堂本舗   〒115 東京都北区神谷3−28−12−2B   ・Fax/03−3901−7131 ★厚生省たばこ対策検討会/ 第3回会合が4月22日に開かれました。おおよそのやりとりは次の通り。   ※趣旨が通じるよう一部表現を修整してます。 ビル・トッテン〔アシスト代表取締役〕=社員700人の会社。喫煙者は新規採用しない。今年4月から喫煙  者を昇格させないようにした。喫煙で自殺するのは構わないが他の社員を殺すのは経営者として許せない。 坂東真理子〔総理大臣官房付〕=3月迄埼玉県副知事だった。子供2人。次世代への影響が心配。女は男の  悪い所を真似る必要はない。「喫煙は痩身に有効」という誤った情報を糾す必要がある。生命保険には格  差を設けるべきだ。社会的に吸わないことを奨励することが必要。 水野肇〔医事評論家〕=50年間喫煙していて、やめた。医者に「やめるといいことがある」と言われていた  が、特に良いこともなかった。やめるのが辛いこともなかった。役所はタバコが売れなくなることを考え  るより、喫煙者を減らすことを考えるべきだ。健保に格差をつけるとか。国民に吸うなと言うなら、まず  厚生省から禁煙すべきだ。役所の情報は肺癌に偏っているが、肺気腫の方が悪影響がある。タバコは本当  に「百害あって一利なし」か。英の「タバコはアルツハイマーに良い」との研究等に対し、きちんと反証  を示してほしい。 五島雄一郎〔東海大名誉教授・禁煙医師連会長〕=21世紀を担う世代をタバコの害から守るには次の対策が  必要。未成年への販売禁止・自販機廃止・税上げ・学校の禁煙化・社会教育・防煙教育・研究推進。 仲村英一〔WHO執行理事〕=喫煙問題は健康問題であるとの観点で考える必要がある。せめて厚生省の事  務室ぐらいは禁煙に。 幸田正孝〔全国社会保険協会連合会理事長〕=(意見の違いはあるが)未成年喫煙の問題は比較的合意が得  られるのでは。その趣旨で具体的議論を。最低限、自販機で未成年が買うことがないように対策を。 内山充〔日本薬剤師研修センター理事長〕=大河委員は「協調ある共存」と言うが、この程度では駄目。今  迄のことを考えれば、より効果ある対策が必要。モラルと言うが、どうやって実行させるか。「(害が100  %)分っていない」からといって「(規制すべきかどうか)何も言えない」ということはない。研究も重  要だが、(害がはっきり)分らないうちに手を打つのが厚生省や科学者の義務。全ての物質で「100%悪い」  という物はそうは無い。(有害性が100%立証されないうちは規制すべきでない、という態度は)「烏が  黒いのは本当か」という議論と同じ。「全ての烏を見たわけでないのにそう言えるのか」となってしまう。 大河喜彦〔JT取締役〕=未成年喫煙(以下「未喫」と略)防止には賛成。どの程度有害かによって対策の  強弱が違う。身体的健康へのリスクの可能性はある。受動喫煙の害は明確ではない。嗜好品として定着し  ているタバコと他の環境有害物質を同列に考えるのはおかしい。『タバコ白書』でも脳卒中の要因かどう  か不明とされてる。タバコ税は酒類と比較しても高率。短兵急な結論は得られないのではないか。 山崎正和〔東亜大教授〕=多数決で決めるなら結論は明らか。どう議論を進めるのか。教育問題といっても、  この場には教育専門家はいない。「未成年」の定義もいろいろある。「性非行をなくすために男女別学に  すべし」と同じ議論なのか。筋が通っていれば税率上げも認める。しかし「禁止税」という発想でやるな  ら、税法の専門家を呼ぶべきだ。タバコ税は喫煙者に還元されていない。しかし、この議論を延々とやる  わけにもいかない。このままでは平行線。一致点は「分煙」だ。この辺で終りにするのが大人の議論だ。 島尾忠男〔座長/結核予防会会長〕=多数決で決めるつもりはない。 トッテン=未喫禁止が無視されてるのは、厚生省でなく警察の問題ではないか。タバコが100%悪いという結  論はないが、酔っ払い運転・拳銃保持が100%問題を起こすわけではない(だから酔っ払い運転は構わない、  ということにはならない)。「害があるかもしれない物」を売る方の側が、「100%安全」を証明すべきだ。 山崎=米国の殺人事件の過半は銃によるものだが、米国が銃保持禁止をためらっているのはなぜか。この議  論をやっていても、皆さん「うるさい」と思うだけで、実りがない。 幸田=喫煙をやめて二十何年。表示・価格が問題。値段が安すぎる。外国と同じ税率で日本はなぜ安いのか。 櫻井秀也〔日本医師会常任理事〕=(未喫で)「法律を守れ」というのはこの委員会の(扱うべき)問題と  は別。本当に悪いなら大人にも麻薬並みに禁止すべきだが、それは無理だろう。健康に害があるのは確か。  本人の害なら良いが、間接喫煙をどうするか。トッテン方式はやや極端。医療費分として値上げし、リス  クの高い人から取るべきだ。1箱100円上げで1.3兆円。そして山崎委員に大威張りで吸って貰う。リスク  ファクターとして税を上げるべきだ。 ※日医の役員改選に伴い小池昭彦委員から櫻井委員に交代した。 柳田知司〔慈恵医大客員教授〕=医療費の議論はこの場に馴染まぬ。未喫はなぜ健康に悪いか啓発すべき。 山崎=医療費の問題と税の問題は筋が違う。喫煙者が早死にすれば、むしろ年金は安上がりだ。タバコ以外  のリスクも全て検討すべきだ。分煙徹底の技術的・法的整備のために必要なら、値上げもやむなし。 水野=以前、仏でアルコールを禁止税の趣旨で値上げしようとしたが、担当者が大酒飲みと分かり成立しな  かった。(ことほどさように、タバコを値上げして)医療費に回すのは、実際には難しい。 櫻井=表示強化・(医療費分の)値上げはPR効果がある。アルコール・塩・砂糖にも医療費を乗せるべき。 水野=喫煙者の医療費を割増しするより、非喫煙者の医療費を安くする方が良いのではないか。 櫻井=現在の健保の財政状態では、それは無理だ。 大河=(超過)医療費の根拠が薄弱。ビール47%・ウィスキー20%に対しタバコ税は63%(と今でも高率)。  米は企業が免罪のために表示をしまくる。日本はタール・ニコチンを表示してるが米はしていない。タバ  コ製造・販売を禁止している国はない。 幸田=米で売れない分を日本・アジアで売ってるとすれば問題。 内山=「法律で決められてることは議論しても仕方ない」とは思わぬ。法律が守られないなら、なぜそうな  のかを議論すべきだ。 富永祐民〔愛知県がんセンター研究所長〕=防煙→分煙→禁煙・節煙と順次検討して行けば良いのではない  か。「未成年者喫煙禁止法」制定当時より、青少年への害ははっきりして来た。この委員会に教育専門家  がいれば良かったが、ここではとりあえず大枠を決め、あとは教育関係の会合で詰めれば良いのでは。 山崎=「未成年」の規定はどうなのか。20歳未満か18歳未満か。 幸田=自販機の現状はどうか。 五島=救命救急センターに20〜40代の若い世代が心筋梗塞で運び込まれるが、その9割がヘビースモーカー。  12〜13歳から開始し、約20年吸ってる。日本人の心筋梗塞の最大リスクは喫煙だ。 大河=タバコ自販機は50万台で売上げの40%を占める。96年4月から深夜稼動を停止している。1900年の未  喫禁止法制定時は健康問題はあまり議論されず、街なかで幼い子供が喫煙するので、躾の問題から制定さ  れたいきさつがある。 櫻井=深夜自販機で売らないのは(未喫対策としては)むしろ逆。深夜だけ売るなら分かるが。 トッテン=30年前から日本在住。罰則を厳しくすればすぐ解決する。日本は赤信号横断・駐車違反は厳しく  取り締まるが、米では何も言われない(だから、信号無視・駐車違反が横行する)。 大河=未喫は自販機を止めればそれで済むというものではない。少しの努力でも、評価してほしい。 山崎=未喫禁止を大人に広げないでほしい。「子供は吸うな。その為には大人も吸うな」とならぬように。  「子供に大人の真似をさせぬ」と「子供に大人が範を垂れる」は並行して成り立つ。道徳でなく健康の視  点で。 坂東=吸う側に十分な情報を提供すべきだ。少しでも効果があることを積み重ねるべき。埼玉では防煙教育  を進めている。 五島=JTは未喫禁止を積極的に進めてほしい。モラルをもっとキャンペーンしてほしい。 大河=74年からスモーキンクリーン運動を展開している。未成年と思われる者には(小売店が「成人ですか」  と訊く)「ひと声運動」を行なっている。ポスター掲示等もやっているが、効果はもう一つだ。 島尾=ポイ捨てだけでなく、歩きタバコもやめるようキャンペーンを強化してほしい。 大河=人混みで吸われると、私も迷惑を感じることがある。 柳田=私は喫煙者だが、ポイ捨て防止キャンペーンは不十分に思う。 山崎=そのためには喫煙所の充実を図るべきだ。 トッテン=JT社員が駅で吸殻を拾って歩いたら評価されるだろう。 大河=JT社員がマナーを守るのは当然だが、駅に立って吸殻を拾うのは難しい。米は未喫禁止法が不十分  だが、日本は未喫禁止法が抑止力になっている。 島尾=因果関係については、疫学専門の富永委員から。 富永=(大野良之編『TEXT 公衆衛生・予防医学』[南山堂]より「疫学的因果論」を紹介)。