分 煙 壁 新 聞 4.    1998.5.15 分煙堂本舗   〒115 東京都北区神谷3−28−12−2B     ・Fax/03−3901−7131 ★厚生省たばこ対策検討会/厚生省保健医療局長の私的検討会である「21世紀のたばこ対策検討会」の第4  回会合が5月8日に開かれました。おおよそのやりとりは以下の通りです。  ※趣旨が通じるよう当方で多少修整・補足しています。    大河・水野・柳田・山崎委員は大蔵省推薦。他は厚生省推薦。 松本恒雄〔一橋大法学部教授〕=喫煙の害の共通認識はあるのか。「未成年は判断力が不十分だから禁止」  というのは「未成年は喫煙の有害性についてきちんと判断できない」という意味か。つまり、喫煙に一定  のリスクがあるという前提か。もし「害がない」と言うならJTは未喫法の廃止運動を起こすべきでは。 大河=この検討会では、有害性の結論は出ていない。当方はたばこ事業審議会の答申に基づく結論を引用し  ている。(未成年の)判断力の議論は難しい。 松本=未成年に判断力があるか無いかということではなく、なぜ禁止されているのか、ということだ。 山崎正和〔東亜大教授〕=過去3回の議論を通じて、総合的ないし医学的に害があるか、という点は結論が  出ていない。座長は「多数決の手法を採らない」ということなので、この会では有害性の結論は出ない。  未喫問題と分煙については合意がある。各法令で未成年の規定はバラバラ。医学的・精神的な成人の年齢  を提示してほしい。(未喫法を)廃止するという議論なら、喜んでやる。 松本=単に「法律がダメだと言っているからダメ」ということだと、具体的な施策が出て来ない。 櫻井秀也〔日本医師会常任理事〕=タバコに害があることを前提にしないと、議論が進まない。「大人はき  ちんと判断できる」ということだと、大人は放っておいて良いということになり、議論する意味が無い。 松本=大人の判断力は十分な情報提供があるかがポイント。リスクについて共通認識が無いと話が進まない。 島尾忠男〔座長/結核予防会会長〕=喫煙者本人のリスクについては或る程度共通認識がある。しかし成人  の喫煙を一律に禁止すべしという共通認識は無い。未喫については、よりリスクが大きいというのは共通  している。害があるなら、なるべく喫煙開始は遅らせるべき。(「未成年」の規定は)未喫法が20歳未満  となっているなら、それで良いのでは。 水野肇〔医事評論家〕=未成年はダメ、成人は吸っても吸わなくても良いということか。旧制中学は「喫煙  =停学」という規則があるので吸わなかった。役所自身「吸うな」と言えるだけのものがあるか。厚生省  の偉い人がバカバカ吸ってる。「勝手に吸え。責任は持てん」というなら、こんな検討会は要らない。喫  煙は健康に良いか悪いかというと、良いとは言えない。(役所がいくら言っても)本人がやめようと思わ  なければ、やめない。 内山充〔日本薬剤師研修センター理事長〕=本格的議論に入る前につまずいている。タバコ業界の意見は既  にまとまっている。(未成年は)判断力が無いから禁止する、つまり「判断力が無いと危険」ということ  だ。未成年の年齢を決めないと議論できない、ということではないだろう。 五島雄一郎〔東海大名誉教授・禁煙医師連会長〕=未喫では、米の公衆衛生総監の報告が出ている。未成年  で吸うと、大人になって病気罹患が多くなる。 水野=役所が情報提供することは必要だし、大変良いと思う。しかし「吸うな」と迄言えるのか。 内山=食品でも「食べろ」「食べるな」とは言えないが、情報提供は必要。タバコについても、そのリスク  を知らせる必要がある。 川口順子〔サントリー常務(生活環境部長)〕=多くの未成年が喫煙しているという現実がある。そこから  議論をスタートすれば良い。単純に議論を始めてはどうか。 松本=しかし、施策を考えるにあたって、害を提示する必要が出て来る。「吸わない方が良い」ということ  なら、強い対策が出て来る。「法律があるからダメ」というだけでは、効果が無いのでは。 島尾=未喫の場合、情報提供と教育をどう結びつけるかが重要。 山崎=未喫法の精神について問わない、というのは、この会の妥協の産物。なぜ禁止されてるのか議論する  と、(有害性について)延々とやらなければならなくなる。となると、(そんな議論をやるわけにも行か  ないので)理由無く禁止せざるを得ない。現に理由無く禁止されてる事柄は他にもある。これは文化人類  学的背景によるものだ。私はこの会に教育専門家を呼ぶようお願いしている。なぜ子供が法を犯して喫煙  するかという社会状況を議論するために、教育専門家を呼んでほしい。 松本=教育の場では「法律があるからダメ」というだけでは効果が無い。なぜダメかを教えなければ。 島尾=「早く喫煙を始めれば害が大きい」というのは、医学界の共通認識。 五島=未成年にタバコを売らせないようにするのが大事。小売店の対応や自販機撤去も必要。 富永=最も重要なのは喫煙習慣を身に付けさせないこと(=防煙)。喫煙者の6〜7割はやめたいと思って  いるが、薬理作用・習慣性のためなかなかやめられない。未成年が判断できないというのは、十分な知識  が無いということ。従来、学校は「法があるからダメ」という姿勢だったが、最近ようやく健康問題とし  て考えられるようになって来た。「未成年に喫煙させない」ということで議論すればいいのではないか。 大河=未喫問題は青少年の健全育成の一環として、地域・家庭など社会全体で取組む必要がある。米は70年  代迄は未喫法制定は17州だけで現在も31州位。連邦法では禁止されてない。日本ではザル法化していると  いうが、未喫法が一定の抑止力になっているのではないか。 柳田知司〔慈恵医大客員教授〕=吸ってない人と吸ってる人にそれぞれどう対応するか。富永・五島委員に  ポイントをリストアップして貰い、専門家を呼んで検討してはどうか。なぜ吸ってるのか等の実体把握が  必要。リスクは弱年ほど高いが、成人になれば無くなるというものでもない。未成年対策から始めて、成  人への情報提供に移行すれば良い。 幸田正孝〔全国社会保険協会連合会理事長〕=タバコが未成年の手に入らないようにすることが必要。自販  機は店の人の目の届く範囲に限定すべきだ。 川口=「害の情報を与える」ということを超えて、子供に自主的判断力を身に付けさせることが大事。圧力  に負けず自分の判断を貫くことが出来るようにさせなければ。教える側が十分理解してるかも議論が必要。 大河=タバコ自販機は50万台強で売上げの40%を占める。平成元年の設置基準改正で店舗併設でない自販機  は不許可となっている。但し、改正以前の物は残っている。酒類の自販機も同様の基準があったと思う。 幸田=米はこの30年で90万台→30万台と減少している。見習ってはどうか。時間規制ももっと早めたら。 川口=酒の小売店は2000年に自販機撤廃ということで対応している。 坂東真理子〔総理大臣官房付〕=いろいろなルートを使った情報提供が必要。業界はポイ捨てについては熱  心にやっているが、健康への害も情報提供して貰いたい。組織的で広範な取組みが必要。 矢崎義雄〔東大医学部教授〕=防煙に同感。タバコの問題も塩の問題も重要。発症との関連は確率の問題に  なる。いろいろな立場から議論するのは良いが、どうしたら国民の健康を守れるかという原点で進めて貰  いたい。病院の自販機を見ても問題の難しさは感じる。2次予防には禁煙が、1次予防には防煙が大事。 山崎=例えば砂糖は人間にとって不要な物で、採りすぎれば害がある。こうして一つずつやって行くと、必  ず有罪となる。タバコは単に健康の問題だけでなく文化の問題。喫煙という総合的な人間の営みを管轄で  きる省庁は無い。平山疫学には非常な疑いを持っているが、それをここで延々議論するのは社会通念に反  するので、やるつもりは無い(=有害性の議論に入ると収拾がつかなくなるので皆さんやめましょう)。 矢崎=今迄は治療が重視されたが、今後はコスト面からも1次予防が大事。我国は予防医学の観点が弱い。  疫学的アプローチが遅れている。これは厚生省以外に推進する所は無い。 坂東=情報が十分手に入っていないという大前提がある。自販機に害の表示をするとかしてはどうか。 山崎=予防医学は重要だが、一線を超えると危険。ナチスの優性思想には予防という観点があった。医者に  は歯がゆかろうが、病気になった人だけの面倒を見て貰いたい。「タバコが有害でない」という情報もあ  って良い。広告自粛はナンセンスだ。正しいものを売るのになぜ自粛するのか。いろいろな情報を発信し  て、国民の選択に任せるのが良い。 内山=「予防=危険思想」というのは詭弁論でどうにでもなる。この会は万能ではないから、全ての専門家  を呼ぶわけにはいかない。この会で出来るのは勧告・要望の範囲だ。 柳田=タバコは白か黒か鮮明に分けられる物ではない。塩・砂糖にも適量がある。全ての嗜好品は量との関  係が大事。私はタバコ寛容派だ。「少しでもダメ」というのではなく、量の問題で考えるべきだ。 松本=タバコが塩・砂糖と同じ次元ならこんな会は要らない。タバコには適量があるのか、それとも「ゼロ  の方が良いが、(とりあえず)新たに吸い始める人を減らす」ということか。 島尾=後者の方だ。しかし「吸ってる人を今すぐやめさせなければならぬ、という程の害ではない」という  のがこの会の前提だ。次回は具体的に議論を進めたい。 ★たばこ病訴訟いよいよ提訴/ 昨年11月の「たばこ病被害者110番」を契機に、喫煙によって肺癌・喉頭癌 ・肺気腫になった患者7名が原告として名乗りを上げ、弁護団16名の精力的な準備活動を経て、5月15日に 東京地裁に提訴の運びとなりました。被告は日本たばこ・国で、請求事項はタバコ広告禁止・自販機撤去・ 有害表示等と当面1人千万円の損害賠償です。JTや国が自らの非を簡単に認める筈はなく、裁判は長期化 して交通・通信・印刷・資料収集等に膨大な経費がかかると予想されます。そこで、この訴訟の社会的意義 を理解される各位に、財政支援(カンパ)を呼びかけます。また、裁判の傍聴もよろしくお願いします。  カンパ宛先 「たばこ病訴訟弁護団」[郵便振替]00180-4-419401/[第一勧銀四谷支店]普通1848008 ※分煙の会宛お送り頂いても結構です。当会から弁護団に届けます(「訴訟カンパ」と明記して下さい)。