分 煙 壁 新 聞 7.  1998.6.16 分煙堂本舗 〒115 東京都北区神谷3−28−12−2B ・Fax/03−3901−7131 ★厚生省検討会第6回/  6月9日、厚生省「21世紀のたばこ対策検討会」第6回が開催されました。 大河・水野・柳田・山崎は大蔵省推薦委員。他は厚生省推薦。 大河喜彦〔JT取締役〕=[資料説明:パッケージのニコチン・タール量表示や添加物の安全性について] 富永祐民〔愛知県がんセンター研究所長〕=低ニコチン・タールと一般のタバコの有害成分(CO等)比較を公  表してほしいと前回お願いしたのだが……。 大河=吸口の紙に気孔をたくさん開けることで希釈して低ニコチン・タール化しており、CO等も低下する。米  等では低ニコチンで本数が増える等の問題が出ている。(実験の)標準喫煙条件が(現実の喫煙と)ズレてい  るのでは、との指摘があるが、これは横並びで比較するための統一的基準でISOで規定されているものだ。 富永=(気孔を開けると)先端からの空気の取込みが減るので、不完全燃焼化するのではないか。COだけでも  示してほしい。 大河=(気孔を開けることで)ガス成分も低下すると理解してほしい。 松本恒雄〔一橋大法学部教授〕=タールとは一つの物質なのか。ニコチン・タール量が健康にどう影響するかを  消費者が解っていることを前提とした表示か。ニコチン・タール表示は危険度の情報か効用の情報か不明だ。 大河=ニコチンは単一物質。タールは主として熱分解過程でできる粒子成分。低ニコチン・タールほど肺癌等の  リスクが低いという報告がある。アルコールの度数表示と同じ。自販機にステッカーで(銘柄別の)ニコチン  ・タール表示をしている。これは日本だけだ。 柳田知司〔慈恵医大客員教授〕=リスクは個人差・吸い方により違う。 松本=タールは有害物質と考えていいか。なぜ有害物質を販売していいのか。 大河=いわゆる有害物質と考えてもらっていい。タールをなくすと商品として成立しない。 柳田=生活の中でも焼魚等タール成分がある。量が多いと害が出る。質ではなく量の問題ではないか。 大河=米公衆衛生総監の死亡原因別リスク表(下表)が事務局から再三出されているが、この表は問題だ。客観  的でない。   <種々の活動による推定リスク/アメリカ公衆衛生総監報告1989>    [活動または死因] [曝露者の年間死亡リスク(100万人当り)] 能動喫煙   7000人 アルコール(事故・疾病)   500人 自動車事故     200人  就業上の死亡     100人 受動喫煙(癌死のみ) 20人 高原亮治〔厚生省健康増進栄養課長〕=これはwell acceptiveのデータだ。よりdeviseされた方が良いと言うな  らそのようにする。 大河=この数字が喫煙者の超過死亡かどうかを聞いている。 高原=相対的な危険度を要因別に分析したもの。喫煙者と非喫煙者の対比ではないかと思うが、確認する。 島尾忠男〔座長/結核予防会会長〕=情報開示について意見を。 野中ともよ〔ジャーナリスト〕=委員の数より傍聴者の方が多いのは大変結構だが、45分間も私にはよく解らな  い(専門的な)話がされた。(喫煙と健康被害の)因果関係については、『タバコ白書』等に基づいた上での  (「喫煙は有害」を前提とした)議論をするのかと思ったら、これ迄は殆んど因果関係があるかないかの議論  をしている。因果関係の共通理解がないと、情報開示で数字だけ出しても、消費者に解らず真の開示にならな  い。(喫煙の害について共通認識のない)このメンバーでは(建設的な議論は)できない。我々は何の為に集  まっているのか。座長に整理してほしい。 島尾=疫学的確率の受取り方は個人差がある。健康な人には差し迫った危険が感じられない。健康の価値は個人  によって違う。病気によって喫煙のリスクも違い、病気ごとのアプローチが必要。受動喫煙規制については慎  重な姿勢が必要。法制定しても警察に執行する元気はないだろうし、国民的合意は得られない。 山崎正和〔東亜大学大学院教授〕=座長の言葉に感銘を受けた。当初から厚生省がこのメンバーで何をやろうと  しているのか、意図が解らなかった。規制強化するなら、この中の何人か(=大蔵省推薦委員)を除いてやれ  ば、すぐに結論が出る。座長が「医学論議はしない」と言ったが、医学論議をするなら専門家を集める必要が  ある。今の座長の言葉で結論としてはどうか。 野中=分煙なら議論できる。 山崎=情報提供は誰がやるのか。国が国民に指導・誘導をするなら、情報の客観性が必要。悪いことでも国が指  導するな、と言っているのではない。タバコ会社の表示も「社会的配慮」といったいい加減なものと判った。 松本=JTの立場は山崎委員より世論に迎合的。加害者と被害者の消費者問題だから、JTはメーカーとしてど  こ迄承認できるかを基に、それを実効あるものにするにはどうしたらいいかを考えてはどうか。 山崎=ここはJTと消費者の団交の場ではない。それは裁判でやれば良い。 松本=団交の趣旨はない。メーカーとして認めていない事実を委員会で多数決で認めさせることは考えてない。 島尾=各委員のお考えを。 野中=中立の立場での情報開示は不可能。いろんな害のデータが出てるなら、それを知りたい。疑わしきは摂取  したくない。医学的議論はとことんやって頂きたい。子供たちに害があるということを警告してほしい。 坂東真理子〔総理大臣官房付〕=情報開示には解説も必要。普通の人が接する雑誌・映画等ではタバコは格好い  いという情報の方が多い。この委員会は「タバコ=有害」が大勢だが、この落差を埋める必要がある。 ビル・トッテン〔 アシスト代表取締役〕=統計の話は時間の使い過ぎで屁理屈。常識で考えれば酔っ払い運転  ・銃所持等は危険。統計がなくても分かる。喫煙者が自殺するのは構わないが、職場で煙を我慢しなければな  らないのはおかしい。非喫煙者保護の規制が必要。レストラン等での規制も検討会で議論してほしい。 松本=メーカーが前提としている事実を基にやってはどうか。 矢崎義雄〔東大医学部教授〕=喫煙は疾患の発症危険因子として確立されている。大河委員が色々なデータを出  すので時間を取っている。規制規制ではうまく行かぬ。キャンペーンが必要。循環器の医者でも悪いと知りつ  つ吸ってる。禁煙支援には情報提供が必要。危険の情報が少ない。特に未成年。問題点を絞って答申しては。 柳田=この会は何かを評価するのではなくて、厚生省がどうしたらいいか、意見を出す場。未成年喫煙について  厚生省が他の機関とどう連携したらいいか。分煙をどう推進したらいいか。喫煙については個人の判断で。情  報開示はセレクトする必要があるが、バイアスがかからないようにする。生の情報では一般の人に解らないの  で、料理する。これもバイアスがかからないように、皆が意見を言う。 山崎=この委員会では私は変わり者の孤立した存在だが、一般国民に準じて選べば、違った構成になるだろう。 仲村英一〔WHO執行理事〕=タバコは良いか悪いかといえば、99%の人は良いとは言わない。 富永=95年に「たばこ行動計画検討会」報告が出たが、この検討会では具体策を出すべき。両論併記でもいい。 櫻井秀也〔日本医師会常任理事〕=タバコは害だ、というのは皆が認めるところ。害の程度が3か4かで細かい  議論をするのは無駄だ。「非常に悪い」「少し悪い」程度の区分で議論すれば良い。国民の健康を預かる厚生  省として指針を出すのは当然。喫煙の効用があるとしても、害があるということをはっきり示す必要がある。 幸田正孝〔 社会保険協会連合会理事長〕=一致できるのは未成年喫煙対策と分煙の推進。各論に踏み込んで具  体策を。分煙は発生者責任で。(分煙機器導入等は)メーカー、ひいては喫煙者の負担で。外国タバコが日本  で外国並みの表示ができないのはおかしい。タバコが値崩れしない理由は何か。「たばこ事業法」に問題があ  るのではないか。「たばこ事業法」を管轄している大蔵省が、健康問題に識見があるかは疑問だ。 川口順子〔サントリー常務(生活環境部長)〕=違った意見がいろいろ出ることに意味がある。そのことをはっ  きり(報告書に)書く。国際会議等では、ある程度議論が出尽くしたら文書にして、それについて議論する。 大河=この会を妨害しようという意図はない。未成年喫煙防止では自販機の深夜停止をしている。全廃は営業権  の問題も絡む。分煙はメーカー負担の前に、喫煙者と非喫煙者の感情的対立を緩和することが大事。機器も含  め、分煙ガイドラインを国としても示す必要がある。タバコは選択の対象である嗜好品。情報提供は従来不十  分な点もあったので、的確にやって行きたい。喫煙はいくつかの疾患の危険因子であることを否定するもので  はないが、ストレス解消等の効用もある。平山雄博士の調査は数字が一人歩きしている。死因調査が不十分。  他に適当なデータがないからといって30年前のデータを情報提供するのは問題がある。(パッケージ表示は)  米は乱訴状況もあってどぎつい表示になっている。日本はタール表示もあり、決して遅れていない。現行で良  いのでは。日本の表示は消費者に対する注意喚起・啓蒙が中心で、米とは違う。 島尾=禁煙法を制定するほどではないが、健康上害があるのは明らか。次回・次々回の会合で取りまとめたい。 山崎=次回は出席できぬが、事前に文書を送って意見が出せるようにしてほしい。 ★たばこ病訴訟の弁論始まる/長年の喫煙によって病気になったとして、7名の原告が国・JTを相手に損害賠 償・広告差止め・警告表示などを求めて5月15日に提訴した歴史的な「たばこ病訴訟」の第1回口頭弁論が、6 月16日、東京地裁で開かれました。27枚の傍聴券を求めて70名余りが並ぶという盛況で、奄美大島・京都から原 告2名が出廷。伊佐山弁護団長は訴状(要旨)陳述で、パッケージの実物を掲げながら日米加の表示の違いを示 し、また77年に たばこ総合研究センターが『喫煙の場所的制限に関する報告』を纏めたがマル秘扱いとなって いる事実を暴露。続いて荒木原告団長が「肺癌で右肺を全摘した。20歳頃、配給が契機で吸い始めたが、肺癌に なるとは思わなかった。ヘビースモーカーになり、依存が強くなった。医師に『死ぬ』と言われて初めて禁煙で きた。現在も一日数時間の吸入が必要。タバコ広告の影響は大きい。JTと大蔵省の責任は重い」等と吸入器を 付けながら意見陳述を行ないました。国・JTとも既に「原告の請求を棄却することを求める」との答弁書を提 出し、基本的に争う姿勢を見せています。裁判が長期化すれば原告の交通費(というより旅費)だけでも重い負 担となります。今回の裁判は原告個人の単なる被害回復にとどまらず、立ち後れた日本のタバコ対策を進める為 の大きな社会的波及効果を併せ持つものです。関係各位のご協力をお願いします。大別して金銭・労力(傍聴や 事務作業手伝い)・情報提供(追加原告の紹介やタバコに関する内外資料の提供)の3種目でヨロシク。  たばこ病訴訟を支える会=〒102千代田区飯田橋2-1-4九段セントラルビル203/TEL03-3222-6781又は分煙の会迄  *たばこ病訴訟ホームページ http://plaza10.mbn.or.jp/~sensho/