『分煙壁新聞』第22号(2000.5.15)[分煙堂本舗・発行] 〒115 東京都北区神谷3−28−12−2B/Tel・Fax=03-3901-7131  4月25日10時、東京地裁で「たばこ病訴訟」第11回口頭弁論が開かれ、荒木原告 と弁護団8名が出廷した。 ◆伊佐山弁護団長=被告JTは喫煙者と肺癌等の因果関係を熟知しながら、法廷戦 術として否定している。かつて水俣病等で公害企業が事実を隠蔽し、時間稼ぎを図 り、被害者を苦しめてきたのと同じ戦術だ。米では1000件に及ぶPL(製造物責任) 裁判が起こされている。4月7日、長期の喫煙で肺癌死した喫煙者の遺族が損害賠 償を求めた裁判で、フロリダ州高裁陪審は、タバコの害を知りながら公表しなかっ たメーカーに責任ありとして、690万ドル(約7億円)の支払いを命じる評決を下し た。今後の懲罰的賠償は総額3000億ドル(約31兆円)に達すると報じられている。  喫煙と肺癌・肺気腫・喉頭癌の3疾患との関係は世界の常識だ。それは厚生省の 『喫煙と健康(タバコ白書)』でも十分明らかにされている。喫煙と3疾患の因果 関係を否定するなら、JTはこの記載に対し誤りを指摘すべきである。米での和解 を撤回し、(各州政府と)あくまで争ってはいかがか。  国際癌研究機関は1985年、「タバコは発癌性をもつ。その証拠は十分」と結論し これを支持する論文は7万件以上もあり、世界の医学界で確定している。  JTは「肺癌等の疾患の機序は十分に解明されていない。内外の種々の要因があ る」等と主張しているが、喫煙と肺癌等の因果関係を考えるのに発生機序の解明な ど不要。アルコールで酩酊する機序は十分解明されてはいないが、その因果関係を 疑う者はいない。JTの論法なら、あらゆる病気の機序は十分解明されていないか ら、原因不明となる。機序がどの程度解明されたら因果関係を認めるのか、JTは 示すべきだ。  JTは反論として蟹沢氏の論文を提出したが、同氏は疫学の専門家でなく、しか もこの論文は実は喫煙と肺癌の因果関係を肯定したもので、誤用である。  被告国は喫煙に関する情報を国民に開示すべきだ。本件では喫煙で国民の生命と 健康が日々深刻に害されていることが問われているが、国は法廷で実質的に沈黙し ている。厚生省はエイズ問題でも情報隠しを行ない、刑事責任を問われているが、 喫煙問題でもタバコ産業と大蔵省のタバコ拡販政策に加担する過ちを繰り返してい る。厚生省は『健康日本21』で、喫煙による超過死亡は年9.5万人(全死の12%)と 明記している。厚生省の認識は原告と全く同じにも拘らず、法廷ではこれを認めな いというのは、二枚舌と言わずして何と言うべきか。  JTは外国では「喫煙は肺癌の原因となる」等と有害表示をしているが、日本で は「吸いすぎに注意しましょう」と曖昧表示でごまかしており、この二枚舌は厚生 省の二枚舌とよく符合する。国は今後もJTを擁護し続けるのか、国民を守るのか が問われている。  [以上『第13準備書面』より] ◆裁判長=JTは「原告個々の病歴等を明らかにしてほしい」と言っているが、カ ルテでは足りないということか。住環境等も問題にしているのか。 ◆JT代理人=その通り。 ◆山口弁護団事務局長=どういう場合に「たばこ病」を否定するのか、明らかにし てほしい。(例えば)アスベストが肺癌の原因になると主張するなら、その機序を 示してほしい。 ◆裁判長=次回は荒木・山本2原告の主尋問を予定、反対尋問も行なうということ でよいか。 ◆JT=反対尋問は次々回にしてほしい。理由その1、カルテがかなり大部なので 専門的分析が必要。理由その2、主尋問の内容が分からない。原告側は我々の求釈 明に応じてもらえないようなので、居住歴やタバコの銘柄等を訊かねばならない。 反対尋問は1時間半ぐらいかかるので、次々回で。 ◆伊佐山=全く同意できない。原告は既に2人亡くなっている。原告は(病苦に加 えて)尋問で苦しめられる。二度手間でやることはない。 ◆裁判長=次回は2時間しかない。反対尋問もやるとなると、(予定の2人ではな く)1人だけでどうか。 ◆JT=ぜひ次々回で。 ◆裁判長=しかし、二度になると何なので。 ◆JT=カルテが相当あるので、(次回までの)2ヶ月では足りない。 ◆伊佐山=そんなことはない。2ヶ月あればできる。 ◆JT=原告の詳しい陳述書(居住歴等)を予め出してほしい。いきなり反対尋問 と言われても対応できない。 ◆伊佐山=もう少し詳しい陳述書を用意する。 ◆JT=できるだけ詳しい陳述書を出してほしい。 ◆山口=あなた方は何を訊きたいのか。 ◆JT=主尋問を聞かないと分からない。 ◆山口=そんなことはない。喫煙歴・居住歴以外、何があるのか。 ◆裁判長=では、次回(6月13日10:00〜)は原告荒木氏1人、主尋問30 分ということで。 ◆JT=反対尋問は1時間半で。(傍聴席から「10分でいい!」のヤジ) ◆裁判長=反対尋問は1時間強ということで。次々回は9月5日、原告山本氏の尋 問を行なう。[10時50分閉廷] ※原告『第13準備書面』希望の方は400円(80円切手×5枚等で)を分煙堂本舗迄 ●たばこ病訴訟とは、1998年5月15日、喫煙が原因で肺癌・肺気腫・喉頭癌になっ た患者7名が、日本たばこ産業と国(大蔵省・厚生省)の責任を追及すべく起こし た訴訟です。提訴後、被告国は黙秘状態、被告JTは低レベルの反論で引き延ばし を図っています。既に2名の原告が病没しており、迅速な審理が望まれます。 ●あなたも「たばこ病訴訟を支える会」(年会費2000円)に入会して、歴史的 な裁判に参加して下さい。  〒102 千代田区飯田橋2-1-4 九段セントラルビル203/Tel.03-3222-6781/  振替00120−1−45120「たばこ病訴訟を支える会」