『分煙壁新聞』No.24/2000年9月9日/   分煙堂本舗・分煙社会をめざす会発行   〒115 東京都北区神谷3-28-12-2B/Tel・Fax=03-3901-7131 ■たばこ病訴訟第13回口頭弁論が9月5日、東京地裁で行なわれ た。42枚の傍聴券を求めて47名が行列し、抽選となった。山本又 男原告と弁護団5名が出廷。山本原告(66歳/肺気腫)に対する 訊問が行なわれた(年号は原則西暦で表記)。 <10:00開廷>裁判長による人定質問の後、山本原告が宣誓。 ◆裁判長=山本さん、宣誓をしたので、ありのままの証言を。 ◆山本原告=はい。[書証提出等]<10:15主訊問開始> ◆山口弁護団事務局長=山本さんはタバコを長い間吸っていて、 肺気腫を起こしている原告ですね?   ◆山本原告=はい。[以下、山口弁護士の質問に答える形で]一 昨日から体調が悪くて(出廷に)二の足を踏んでいた。娘にも止 められたが、多少無理を押して出て来た。調子が悪いというのは、 痰が沢山出ること、息切れが頻繁に起こること、歩くのが辛いこ と等だ。ここへ来る途中、新橋を歩いている時、歩きタバコの煙 が顔にかかって一瞬息が止まり、辛い目にあった。    小さい頃は山の中で育ったので、足には自信があった。山林労 働・農業を通じて(鍛えられ)、力持ちだった。体重は17〜18貫 (64〜68kg)あり、60kgの俵を2俵、天秤棒で運ぶほどの力自慢 だった。喫煙を覚えたのは中学の頃、14歳の時だった。先生に隠 れて吸うのが楽しみだった。6kmの徒歩通学の途中もかなり吸っ ていた。銘柄は「憩」「新生」「ハッピー」等。始めは1日20本 弱。山仕事を手伝う中で先輩労働者たちにつられて、本数がどん どん増えた。17歳の烏帽子着(元服式)で一人前と認められ、酒 ・タバコ公認となった。17歳を過ぎた頃は60本位吸っていた。半 分まで吸って消すような吸い方だった。タバコは貧困と重労働が 混じったもので、同僚も酒・タバコが多かった。くわえタバコで 働いてた。25歳の時、石綿工場で働くようになった。労働運動を やっていたので、1日2〜3時間睡眠という忙しさで、喫煙量も 増えていった。34歳でタクシー会社に勤め、喫煙量はますます増 えていった。「ハイライト」「ピース」「ホープ」等を吸った。 その後、「セブンスター」「マイルドセブン」等。銘柄がいろい ろなのは、人が吸っていると影響されて吸うということがあった からだ。父は吸わなかった。「タバコは好きか」と言われれば、 吸ってたんだから好きなんでしょうな。意識的に禁煙したことは ない。交通事故で数ヶ月入院た折、病院内で禁じられて吸わなか ったことはあるが、自ら禁煙したことはない。タバコが原因で発 病したと自覚したのは、95年に医師に「肺気腫だ。タバコをやめ なければ死ぬぞ」と言われた時。喘息等はない。親戚にも喘息は いない。現在の体重は48kg。肺気腫の苦しさは妻にも解ってもら えない。歩く時はヨチヨチ歩きで、息切れがひどい。深夜、寝て る時も息切れが起こる。胸に何かが乗ってる感じで、慌てて酸素 吸入をする。完全に横になったら苦しいので、多少傾斜を持たせ て横になる。体が硬直する。全身がひきつる感じで数十分続く。 「もう、あかんか」と思うこともある。今、啓発ビラを作って自 発的に禁煙運動をやっている。一人でも多くの人にこの苦しさを 知ってもらいたいからだ。「ニコチンの量が少ない」等と言って いるのは時代後れだ。始めから吸わないよう、入口で止めなけれ ば駄目だ。酒に較べ、タバコの自販機は野放しだ。子供たちは制 服姿で吸っている。JTは「未成年は法で禁止されているから吸 っていない」というような詭弁をやめてほしい。    <10:55休憩。11:00反対訊問開始>   ◆JT代理人・金丸=1995年に医師から「吸い続ければ死ぬ」と 言われたというが、93年の診断では肺気腫ではなかったのか。  ◆山本原告=「風邪をこじらせた」と言われた。肺気腫とは全く 聞いていない。   ◆JT金丸=(陳述書にある)「91年に入院する迄は入通院はな い」というのは確かか?   ◆山本原告=軽微な風邪を除き、ない。   ◆JT金丸=97年に呼吸困難になったきっかけは? ◆山本原告=心当たりはない。 ◆JT金丸=山登りをした、ということはないか? ◆山本原告=前々日、山登りをした。休日には必ずと言っていい 程、山歩きをした。 ◆JT金丸=「97年6月頃、毎日4km歩いた」とあるが? ◆山本原告=「毎日歩いた」という表現になっているが、(正し くは)「歩いたこともある」ということだ。 ◆JT金丸=97年2月に救急車で運ばれたのは肺気腫の症状か? ◆山本原告=そのように思う。 ◆JT金丸=書類には本人聴取として「喘息にて(救急車を)要 請」とあるが? <11:15 証人疲労のため小休止> ◆山本原告=そんなことは言っていない。「息切れがする」とい うことではないか? 喘息など、思ってもいない。 ◆JT金丸=「一旦帰宅、3月3日夜に再度入院」とあるが、そ の時は喘息では? ◆山本原告=喘息のぜいぜいとは全く違う。(その日は)孫の初 節句なのではっきり覚えている。息苦しくなった。 ◆JT金丸=喘息と肺気腫の違いははっきり分からない、という ことか? ◆山本原告=分からない。 ◆JT金丸=(服用している)薬は喘息のものでは? ◆山本原告=医者の指示なので分からない。気管拡張用・気管収 縮防止用を、時間をあけて服用している。 ◆JT金丸=呼吸困難になりそうな時も喫煙をしていたのか? ◆山本原告=タバコをやめる迄は風邪をひいてても吸っていた。 苦しいけれど、それでも吸っていた。 ◆JT金丸=農林業をやめてから石綿工場に行ったそうだが、具 体的にはどんな作業か? ◆山本原告=石綿とセメントを練り合わせたのを圧延し、型を作 って干すという作業で、勤務は8時から17時だが、労働運動で忙 しかった。 ◆JT金丸=その後タクシー運転手になったが、勤務形態は? ◆山本原告=自車持ちで、実働15〜16時間だった。 ◆JT金丸=定期検診は? ◆山本原告=年2回あった。 ◆JT金丸=検診で病気が見つかったことは? ◆山本原告=ない。 ◆JT金丸=問診では喫煙についてどう答えていたか? ◆山本原告=お客が乗車中は吸ってはいけないのだが、実際は吸 っていた。医者には(本数を)少なめに答えた。60本のところ30 本位と言っていた。(本数が多いと)会社にサボっていると思わ れるので。 ◆JT金丸=「減らしたほうがいい」と医師に言われたことは? ◆山本原告=全くない。 ◆JT金丸=検診で酒・タバコのことを訊かれるのは、何故と思 ったか? ◆山本原告=健康のため、と思う。 ◆JT金丸=中2の頃吸ってたと言うが、タバコの入手方法は? ◆山本原告=タバコ屋で買っていた。 ◆JT金丸=当時は配給制ではないのか? ◆山本原告=配給ではなかった。 ◆JT金丸=(タバコを買う)お金は? ◆山本原告=中学時代は親から貰っていた。 ◆JT金丸=親に隠れて吸っていたのではないか? ◆山本原告=「タバコ代」と言って貰ってはいない。(傍聴笑) ◆JT金丸=喫煙が見つかったことは? ◆山本原告=ある。母親は泣いていた。健康よりも火災(の危険 )が問題だった。   ◆JT金丸=見つかった後、小遣いの額は?   ◆山本原告=別に変わらなかった。   ◆JT金丸=お父さんはタバコを吸わなかったと言うが、やめろ と言われたことは?   ◆山本原告=ない。   ◆JT金丸=当時、学校で週に何回か身体検査があったと言うが、 どんな検査か?   ◆山本原告=今と違って強制的なもの。私はタバコを隠して検査 を受けた。持ってるのが見つかったらビンタを喰う。   ◆JT金丸=学校から、吸ってはいけない理由の説明は?   ◆山本原告=何もない。   ◆JT金丸=未成年者喫煙禁止法は知っていたか?   ◆山本原告=提訴後に知った。   ◆JT金丸=どうして未成年者は吸ってはいけないと思ったか? ◆山本原告=そんな意識はない。経済・健康の問題とかは全く考 えず、(吸っていけない)理由は分からなかった。   ◆JT金丸=あなたにとって喫煙の楽しみとは何だったのか?  ◆山本原告=運転中の眠気覚ましになるというが、嘘っぱちだ。 スマートになるというのも嘘。(痩せるのは健康を損ねて)食べ られなくなるからだ。何でやめられなくなるんだろうと思った。 ◆JT金丸=禁煙する前に、やめよう・減らそうと思ったことは? ◆山本原告=93年に入院した後、「減らそうかな」と思ったこと はあったかも。   ◆JT金丸=酒はいつ頃から?   ◆山本原告=父について仕事しだしてからと思う。タバコより後 だ。量は多くなかった。付き合いの時は4〜5合。   ◆JT金丸=未成年で喫煙・飲酒して、罪悪感は?   ◆山本原告=なかった。   ◆JT金丸=陳述書に「酒・タバコは体に良くない」とあるが、 「酒が良くない」というのは?   ◆山本原告=アルコール中毒のことだ。酒豪で胃癌で死んだ知合 いがいる。父も「飲むなら焼酎にしろ」と言っていた。   ◆JT金丸=酒で肝機能障害になる、との認識は?   ◆山本原告=(自分は)肝臓は全く問題ない。   ◆山口事務局長=質問の関連性が薄い。本人も疲れているし…。 ◆JT金丸=では、定期購読の新聞・雑誌は?   ◆山本原告=商業紙は朝日新聞。それと赤旗。以前は毎日新聞だ ったが、朝日に変えた理由は……。   ◆JT金丸=それは時間がないからいい。また、山口先生に叱ら れるから。酒と健康についての記事は?   ◆山本原告=読んでいる。   ◆JT金丸=タバコに害があると知ったのは?   ◆山本原告=会社勤めを始めてから。25〜26歳頃。   ◆JT金丸=具体的にはどういう害の認識か?   ◆山本原告=意識的にはない。   ◆JT金丸=(害の認識は)どういうことがきっかけか?   ◆山本原告=タバコ銭が無い時、「体にも悪いかなぁ」と。   ◆JT金丸=タバコと健康についての記事は読んだか?   ◆山本原告=提訴後、気にするようになったが、かつてはまるで 意識にない。   ◆JT金丸=昭和30年代、英米などでタバコの害についての発表 があったが、見たか?   ◆山本原告=見なかった。   ◆JT金丸=昭和40年頃、かなり出ていたが?   ◆山本原告=気付かなかった。   ◆JT金丸=ニコチン・タール量を表示するようになったことは ◆山本原告=「何か書いてあるな」という程度だ。   ◆JT金丸=「健康のため吸いすぎに注意しましょう」と表示さ れるようになったことは?   ◆山本原告=「あるなぁ」という程度。   ◆山口事務局長=誤導になる! 「吸いすぎ」とは何本か? それ を明確にしろ!! ◆JT金丸=それは今、関係ない。 ◆山口事務局長=ある!! (「吸い過ぎとは何本か」という) 我々の求釈明に答えろ!!! [被告席に詰め寄る] ◆JT金丸=あなたと議論してもしょうがない。 ◆裁判長=質問の趣旨は? [山口事務局長、原告席に戻る] ◆JT金丸=本人の認識の程度を訊くのは当然のこと。1990年に 「あなたの健康を損なう云々」に変わったが、このことは? ◆山口事務局長=欺瞞だ!! ◆伊佐山弁護団長=質問の趣旨が分からない。 ◆山本原告=(表示文言が)変わったということは知っている。 ◆JT金丸=それを見て、やめよう・減らそうと思ったことは? ◆山本原告=なかった。 ◆JT金丸=93年に入院して、(医師からの)禁煙の指示は? ◆山本原告=なかった。 ◆JT金丸=95年の病院記録に「1ヶ月前から禁煙」とあるが? ◆山本原告=それはない。その時もポケットにタバコが入ってた。 ◆JT金丸=奥さんは「喉が痛くなるのでやめて」と頼んだそう だが、やめようとは? ◆山本原告=「なに言うてんねん」という感じ。 ◆JT金丸=看護婦の娘さんは禁煙を言っていたようだが、具体 的には。 ◆山本原告=わいわい言われた。 ◆JT金丸=そこまで言われてもやめられなかったのか? ◆山本原告=身内からでは駄目だった。 ◆JT金丸=「男の権威」ということか? ◆山本原告=まあ、そんな感じ。 ◆JT金丸=98年1月、MRI検査で異常なしとなっているが? ◆山本原告=何も聞いていない。整形の医師に「手術したら痛み は治る」と言われた。呼吸器の医師には「そんなことしたら、麻 酔のショックでいっぺんに死んでしまう」と言われた。 ◆JT金丸=以上です。<11:59 反対訊問終了> ◆山口事務局長=先程、山本さんは新聞を毎日から朝日に変えた 理由を述べたかったようだが? ◆山本原告=春の高校野球大会の記事の下に大きなタバコ広告が あるのを見て、毎日をやめた。 ◆裁判長=国の方はありませんか? ◆被告国代理人=[うなずく] ◆山口事務局長=事実として青少年喫煙は数を増しており、JT の欺瞞的態度には怒りを覚える。 ◆伊佐山弁護団長=裁判長。抽選になったのに、傍聴席が10席近 く空いていた。傍聴券が当たって法廷に入らない人がいる。傍聴 の妨害ではないか? JTはそういう指示を出しているのか? ◆JT岩渕=そういうことはあり得ない。あり得ないから調べる つもりもない。 ◆裁判長=そういうことがあるとしたら、好ましくない。 ◆伊佐山弁護団長=次回からは、傍聴席が空いていたら(傍聴券 がなくても)入れるようにしてほしい。 <12:09 閉廷> …………………………《日程》…………………………… ▼9月13日(水)18:30=「タバコか健康か」世界会議報告会   【Can Do 原宿】渋谷区神宮前1-11-1SDA教会内 ▼9月14日(木)19:00=埼玉の会例会【川口西公民館】 ▼9月22日(金)18:45=分煙の会例会【神保町・ひまわり館】     ※どうする? 未成年喫煙・5「今、私たちにできること」 ▼10月5日(木)19:00=千葉の会例会【千葉市民会館】 ▼10月20日(金)18:45=分煙の会例会【神保町・ひまわり館】 ▼10月28日(土)14:00=千葉の会勉強会【船橋中央公民館】 ▼11月14日(火)10:00=たばこ病訴訟 【東京地裁627】 ▼2月6日(火)10:00=たばこ病訴訟 【東京地裁627】