『分煙壁新聞』第25号 2000.11.15./分煙堂本舗・分煙社会をめざす会 〒115 東京都北区神谷3−28−12−2B/TEL・Fax=03-3901-7131 ■たばこ病訴訟第14回口頭弁論が11月14日、東京地裁で行なわれ た。傍聴者は39名(傍聴席42席)。荒木照夫原告団長・諸伏啓次 原告と弁護団11名が出廷。諸伏原告(68歳/口頭癌で音声・言語 機能喪失)に対する本人訊問が行なわれた。   <10:00開廷> 国際肺癌学会の「禁煙・東京宣言」の報道記事等 が証拠資料として提出された。諸伏原告は発声器を首筋に押し当 てながら証言。   ◆吉岡弁護士=諸伏さん、器械を使わずに名前を言って下さい。 ◆諸伏原告=[聞き取り不能]   ◆吉岡睦子弁護士=それはどういう器械か。[以下、吉岡弁護士 の質問に答える形で諸伏原告が発声器を使い証言]   ◆諸伏原告=手で常に首に当てていないと音が出ない。馴れる迄 時間がかかる。リンパ節を抜いた患者は使えない。電池式。86年、 桐生厚生総合病院で口頭癌と診断され、手術を受けた。障害は2 種3級。自力で話せず、発声できない。それ迄は風邪をひく位で、 病気をしたことはない。健康には自信があった。自分だけは病気  にならないと思っていた。陳述書で喫煙開始時期が21歳と14歳と  2種類あるが、14歳が正しい。未成年での喫煙はいけないと思い、 始めは21歳頃と言っていた。尋常高等小学校の頃、隠れて吸って  いた。仲間内では皆吸っていた。初めて吸った時は意識が無くな  って12時間位眠っていた。本格的に吸い始めたのは小学校卒業後。 当初は5〜10本位でその後増えた。16〜17歳頃は20本位。その頃  は親の仕事(瓦屋)を手伝い、小遣いでタバコを買っていた。そ  の後桐生に移り、57年〜82年迄寿司店を経営。多い時は40本位。  寿司を握っている時以外は吸っていた。俎板がタバコで焼け焦げ  たこともある。客も大分吸っていたので、自分の煙と客の煙にさ  らされていた(タバコを手にした当時の写真を提示)。食事中も  酒を飲みながら吸っていた。銘柄はピース・光など。マイルドセ  ブンが出て暫くしてマイルドセブンになった。20歳頃、禁煙を試  みたことはある。友人と1万円の賭けをした。禁煙して一週間後、 相手に「やめよう。一緒に吸おう」と言われ、賭けはやめた。こ  れ以外は、漠然と禁煙しようとしたことはあるが、実際に試みた  ことはない。吸わないと頭がボーッとする。タバコが体に悪いと  いうことは新聞等で薄々知っていたが、自分は病気にならないと  思っていた。喫煙で喉頭癌になるとは思ったこともない。「吸い  すぎに注意」の文言は始め気付かなかったが、それを見てもやめ  ようとは思わなかった。見て「ふざけるな」と思った。健康に悪  い物なら売らなきゃいい。85年頃、喉が痛い、カラオケで声が出  にくい等の自覚症状があり、秋に商売をやめて建設会社(貴和建  設)に行った時、声がほとんど出なくなった。土木作業員をした  が、声が出ないと危険を知らせたりできない。9月、山本耳鼻科  に行き、精密検査はせず喉を見ただけで「もう手遅れ」と言われ、 群馬大学医学部付属病院を紹介された。妻には「腫瘍」と告げら  れた。癌とは告知されなかった。妻が病み上がりなので(近くの  )桐生厚生病院に移った。そこで「タバコが原因。タバコはやめ  ろ」と言われた。言われてすぐやめた。群大病院のカルテには「  1日30本」とある。根元迄思い切り吸っていた。建設業は仕事中  吸えないので少し減った。厚生病院では「すぐ入院、手術」と言  われた。建設会社は、迷惑がかかるので、退院後自分から辞めた。 日常生活で困るのは匂いが分からないこと。金木犀みたいな強い  匂いは少し分かる。排気ガスで喉に刺激を受け、咳が出て息苦し  くなる。冠婚葬祭のタバコの煙、線香の煙からも逃げ回る。以前  は地下鉄も駄目だった。排気口の煙・埃も駄目。溶接・塗装等も  駄目。錆止めの薬品が喉に来て気管支炎を起こしたりする。夜も  寝られないことがある。そうなると仕事も続けられない。仕事が  限定されてしまう。それで6〜7ヶ所位移った。1〜2日で手間  賃も貰わず辞めたこともある。出廷のため昨日から東京に来てい  るが、(空気が悪くて)今朝は血痰が出た。覿面だ。原告になっ  たのは、若い人がタバコでこんな病気にならないよう、できれば タバコ販売をやめてほしいから。米では「癌になる」と書きなが ら日本では「吸いすぎに注意」という表示しかしないのはおかし い。悪い物を売るのは理屈に合わない。言いたいことはいくらで もあるが、頭に浮かんで来ない。    <10:48反対尋問開始> ◆JT代理人・奈良=喫煙開始年齢が旧陳述書で21歳となってい たのを新陳述書で14歳に訂正したが、それ以外にも訂正はあるか? ◆諸伏原告=喫煙年数・本数は訂正した筈だ。 ◆JT奈良輝久=82年に寿司屋を畳んだのか? ◆諸伏原告=その1年位前に妻が子宮筋腫になったので(畳むこ とにした)。 ◆JT奈良=前の陳述書は記憶に反しているということか? ◆諸伏原告=それは違う。 ◆JT奈良=旧陳述書作成時、弁護士と打合せしたか? ◆諸伏原告=一度会って、あとは電話で何回か。(出来上がった) 書類も確認した。 ◆JT奈良=「体に良くないことは何となく分かっていた、薄々 気付いていた」と言うが、具体的内容は? ◆諸伏原告=未成年の頃は「背が伸びない」とか聞いた。 ◆JT奈良=購読紙誌は? ◆諸伏原告=新聞は読売。雑誌はたまに週刊誌を読む程度。 ◆JT奈良=「新聞・雑誌で(タバコの害の)記事を読んだ」と 言うのは、いつ頃どんな内容か? ◆諸伏原告=手術をしてから読むようになった。それ迄は目に入 ってもあまり読まなかった。 ◆JT奈良=1962年の英王立医師会の「タバコと肺癌は関係があ る」という発表の記事は? ◆諸伏原告=見ていない。(そういう記事は)見出し程度は読む が、中身はあまり見なかった。三面記事が主だ。 ◆JT奈良=70年、ニコチン・タール量を店頭表示し始めたが? ◆諸伏原告=いくらか見たことはある。 ◆JT奈良=当時はタバコ屋で買っていたのか? ◆諸伏原告=そうだ。1箱ずつ買ったり、まとめ買いをしたり。 ◆JT奈良=自分の寿司店でタバコは販売していたか? ◆諸伏原告=販売はしないが、儲け抜きで融通していた。専売公 社の手先ですよ。[場内爆笑] ◆JT奈良=73年に「吸いすぎに注意しましょう」の表示が出た が、(タバコの害が)店で話題になったことは? ◆諸伏原告=そんなことはない。 ◆JT奈良=20歳の頃賭けで禁煙したと言うが、その後は? ◆諸伏原告=漠然と(禁煙を)思うだけだった。 ◆JT奈良=禁煙を思ったきっかけは? ◆諸伏原告=特にない。 ◆JT奈良=40歳代後半からマイルドセブンに変えた理由は? ◆諸伏原告=ピースは刺激が強く、「マイルドセブンは軽くて良 い」と皆が言うので変えた。 ◆JT奈良=「皆」とは誰? ◆諸伏原告=友達とか店の客とか。缶入りピースは味が良かった けど、箱入りになって味が落ちた。[場内笑] ◆JT奈良=タバコの話がきっかけで禁煙した客はいたか? ◆諸伏原告=聞いたことがない。 ◆JT奈良=14歳で瓦屋の職に就いたというが具体的な作業は? ◆諸伏原告=瓦を屋根に上げて葺く作業だ。 ◆JT奈良=古い瓦を剥がしたり? ◆諸伏原告=剥がすことはあまりない。 ◆JT奈良=作業中の服装は? ◆諸伏原告=普通の地下足袋にジャンパーといった格好だ。 ◆JT奈良=マスクは?    ◆諸伏原告=マスクなんかしない。埃がないから。[場内笑]   ◆JT奈良=寿司店の広さは?    ◆諸伏原告=狭い。3坪位。営業は昼11時から夜12時位迄。    ◆JT奈良=客と喋るのか?    ◆諸伏原告=喋る。黙ってたら商売にならない。[場内爆笑]   ◆JT奈良=喋るのが好きか?    ◆諸伏原告=特に好きということはないが、嫌な奴とは喋らない。 [場内笑] <11:07 速記者交代のため小休止。原告は給水>   ◆伊佐山芳郎弁護団長=被告は関係のある質問をしてほしい。原  告は喉が痛いのに、「寿司屋で話すか?」なんていう質問は何の  関連があるのか?    ◆JT奈良=関連がないことはない。    ◆伊佐山弁護団長=意味のある質問をしてほしい。    ◆JT奈良=82年、寿司屋をやめて建設会社に入ったというが、  具体的にはどんな作業か?    ◆諸伏原告=穴掘りとかコンクリ打ちとか。    ◆JT奈良=家の解体も?    ◆諸伏原告=やらない。それは解体屋の仕事だ。    ◆JT奈良=監視作業もやるか?    ◆諸伏原告=やる。それ以外でも声を出す。マスクはしない。   ◆JT奈良=健康診断は?    ◆諸伏原告=やっていた。2回位。    ◆JT奈良=検診で喫煙本数を聞かれたことは?    ◆諸伏原告=ない。    ◆JT奈良=「酒を2合飲んでいた」というが、いつ頃から?   ◆諸伏原告=15〜16歳位から。始めは毎晩ではなく、建前の折と  か正月とか。    ◆JT奈良=飲む種類は?    ◆諸伏原告=適当。決まっていない。    ◆JT奈良=寿司屋で客と飲むことは?    ◆諸伏原告=ある。    ◆JT奈良=飲酒量は?    ◆諸伏原告=返杯は受けるが、そんなには飲まない。酔っ払った  ら(包丁を使うので)危ないですよ。    ◆JT奈良=医者から「酒を控えろ」等の指示は?    ◆諸伏原告=「飲み過ぎるな」程度。    ◆JT奈良=91年に意識を失って救急車で運ばれた時の記録に「  飲酒2合」とあるが?    ◆諸伏原告=その通り。    ◆JT奈良=手術後の記録の「生活習慣」に「酒」とあるが?   ◆諸伏原告=毎日は飲んでいない。 ◆JT奈良=(医者から)禁酒の指示は?    ◆諸伏原告=ない。    ◆JT奈良=「禁酒」と書いてある記録もあり、陳述書には「ほ  とんど飲んでいない」とあるが、間違いか?    ◆諸伏原告=付き合い程度だ。「ほとんど」というのが、おたく  の考えと違うんだよな、はっきり言うと。    ◆JT奈良=カラオケはいつ頃から?    ◆諸伏原告=よく覚えていない。    ◆JT奈良=(頻度は)どの程度か?    ◆諸伏原告=いちいち細かく覚えていない。    ◆JT奈良=歯は健康か?    ◆諸伏原告=歳並みに虫歯はある。奥の方に入れ歯もあるが、邪  魔だから外している。[場内笑]    ◆JT奈良=医者に「喉頭癌」と言われたのは確かか?    ◆諸伏原告=妻からの又聞きだから、はっきり分からない。    ◆JT奈良=86年9月に桐生厚生病院に入院、「喉頭癌の原因は喫  煙」と言われ「タバコはやめろ」と言われたというのは確かか?  ◆諸伏原告=確かに言われた。厚生省の「命やめますか、タバコ  やめますか」のポスターは記憶にある。    ◆JT奈良=86年11月6日のカルテに「喉頭腫瘍」とありますね。 ◆諸伏原告=はい。 ◆JT奈良=同じく医師記入欄に「発病の原因は不明」となって ますね? (主治医)渡辺健二とあって捺印されてますね? ◆諸伏原告=はい。 ◆JT奈良=別のカルテにも「発病の原因不明」とありますね? [87年から88年にかけてのカルテ10枚程を順次示す]渡辺先生は 「主な原因は喫煙」と言ったのか? ◆諸伏原告=「タバコをやめましょう」と言った。 ◆JT奈良=酒については? ◆諸伏原告=「程々に」と言われた。 <11:27 反対尋問終了> ◆吉岡弁護士=寿司屋をやめた時期について、最初の陳述書と食 い違うのは、後で思い出したということか? ◆諸伏原告=はい。 ◆吉岡弁護士=近親者で癌になった人は? ◆諸伏原告=いない。 ◆吉岡弁護士=渡辺先生に「タバコが原因」と言われたのか? ◆諸伏原告=「タバコが原因」というより「タバコをやめろ」と 言われた。他の(喉頭癌の)患者も皆言われた。それでもやめな かった者もいたが、死んでしまった。   ◆裁判長=では、以上で。   <11:30 本人尋問終了> ◆伊佐山弁護団長=次回は中島原告(京都)で。石神原告(福岡) の状態はかなり悪い。外を10mも歩けないという話で、尋問は厳 しい。(本人尋問を)予定通り行なえないかもしれない。  <11:35 次々回日程を決め、閉廷> …………………………………………………………………………… ▼たばこ病訴訟・追加原告募集中▼byたばこ病訴訟を支える会 ◎タバコで肺癌・肺気腫・喉頭癌になった方、そういう人をご存 じの方、ご連絡下さい。 TEL.03-3222-6781/Fax.03-3222-6780 〒102 千代田区飯田橋2−1−4 九段セントラルビル203 ◎たばこ病訴訟ホームページ=http://plaza10.mbn.or.jp/ sensho/ …………………………《日程》……………………………………… ▼11月26日(日)15:00=「禁煙はインターネットで」【浦和市民会館】  ※主催:埼玉県医師会他/講師:高橋裕子大和高田市立病院内  科医長他/入場無料/浦和駅西口8分 ,浦和市仲町2−10 ▼12月15日(金)18:30=分煙の会定例会【神保町・ひまわり館】   ※千代田区神田神保町2-40/地下鉄神保町駅A2出口3分 ▼12月22日(金)18:30=首都圏協望年会【カンダパンセ】 ※千代田区西神田3-9-10 TEL.03-3265-6366/酒有5千円・酒無 4千円,学割各千円引/12月10日迄にご一報を TEL03-3222-6781 ▼2月6日(火)10:00=たばこ病訴訟15【東京地裁627】 ▼4月24日(火)10:00=たばこ病訴訟16【東京地裁627】