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■オーストラリア見聞録■6
<目次>
・はじめに
・《オーストラリアの喫煙対策(子供より、大人へ)》
・公務員職務時間内禁煙協定(タスマニア)
・病院は当然禁煙
・タバコの売り方のルール
・タクシー内の喫煙規制
・《タバコ会社が何をしているかを明らかにすること》
★《タバコ会社が何をしているかを明らかにすること》★
シドニーでは、シドニー大学の研究者のMary Kolandaiさんにお会いしました。
Kolandaiさんはマレーシア人です。Kolandaiさんのボスのシドニー大学のSimon Chapman教授は、『Tobacco Control』という雑誌でもよくお名前を拝見するタバコ対策を専門にする学者さんの1人です。
タバコ問題の啓発のために、タバコ会社の言動を世に明らかにし、タバコ会社が世界各国で行っているマーケティングの手法の国際比較をする研究をしています。
Kolandaiさんはちょうど、1年間の予定でオーストラリアに出向中でした。
「自分の国の中だけのことを見ていたのでは、タバコ会社の問題に気付くことが難しいのです。他の国の出来事と比較すると、タバコ会社のマーケティング戦略のために、子供たちに何が起こっているのかを理解することができます。ですから、タバコ会社の振る舞いを国際比較し、世に知らしめてゆくことの意義はとても大きいと思います。」とKolandaiさんは言いました。
Kolandaiさんの仕事のひとつが『HOW DO YOU SELL DEATH「死を売る方法」』というCampaign for Tobacco―Free Kids によるパンフレット(アメリカの資料)の作成です。
パンフレットは、タバコ会社のマーケティングの実例である「きれいなキャンペーンガールが無料タバコを配る姿」、「自動車レースをなどの各種スポーツイベントのタバコブランドマーク」、「セクシー、スリム、ゴージャス、グラマーで、西欧化し、自立したイメージの女性を使ったポスター」、「音楽イベントでのタバコブランドマーク」、「お祭りのお立ち台で腰を振る女性のミニスカートに印刷されたタバコブランドマーク」など、視覚的に説得力のある写真で埋め尽くされています。
Kolandaiさんは、そのパンフレットの中で、タバコ広告が禁止されたマレーシアで、「Corrs」という人気グループのコンサートを利用して、タバコの宣伝活動がなされたことを紹介してくれています。
「Live Life Cool」「Salem Cool Planet」というロゴは、タバコの宣伝ロゴとしてではなく、Corrsのレコードプロモーションロゴとして、会場にあふれました。Salemの名前の入ったCDやTシャツのコストよりも、コンサートチケットは安価でした。
つまり、タバコ会社は安いチケットでは元が取れないような、宣伝コストをかけてでも、コンサートに集まる若者たちに、タバコのブランド名をアピールすることを企てていたことになります。
禁煙の会場の中でも、銀色のセクシーなタンクトップ、ミニスカート、ブーツを履いた女性が、Salemのロゴ入りのポーチを腰や胸に下げて、タバコを売っていました。RJレイノルズ社の指摘では、日本たばこ産業は、ライブコンサートのスポンサーブランドとして、Salemの名を売ろうとしているそうです。
タバコ会社は、人気タレントのコンサートチケットを、子供たちでも買える安価な値段で提供し、未成年者にタバコをアピール出来る絶好のチャンスにしています。
マレーシアでは、女性は3.5%しかタバコを吸いません。
しかし、ティーンエイジャーの女の子たちは10%程度の高い喫煙率でタバコを吸います。
Salemをコンサートのスポンサーロゴにすることによって、若い女の子たちに、タバコのイメージを、人気音楽グループCorrsのようなやせてかっこよくて、個性的な女性像に定着させる作戦をとっています。
Kolandaiさんは前述の資料の中で指摘しています。「日本でも絶大な力をもつ日本たばこ産業は、アジアをはじめとする海外に向け、まさに、SELL DEATH (死を売る) のための有力会社になっています。」と Kolandai さんは書いていました。
Kolandiさんのような活動は、英語を母国語としない日本で、メーリングリストやHPを通して、元碑文谷保健所の切明先生が、タバコ会社の振る舞いを明らかにしたWHOの文書を和訳してくださった活動とも通じると思います。真実を知っていただくことに、これからもしっかり取り組んでゆきたいと、私も決意を新たにしました。
Mary Kolandaiさんは、医師である私たちになにを望むかについてもコメントしてくださいました。
「ピンクさんたちは、医師だから、タバコの犠牲者たちをよく知っているはずですね。医師として、どういうことがおきているのか、その生なましい実体験をしっかり伝えるキャンペイナーになって欲しいです。市民としては、やはり、ロビーイング活動はとても大事です。神戸市長選挙でタバコ対策に関して意見を聞き、一般に公開する活動なども是非続けてください。」
アジア太平洋タバコ対策会議を次の次の会には、是非マレーシアでとKolandaiさんは燃えていらっしゃいました。
アジアに進出して、アジアの人たちの生命と健康を脅かしているJTの振る舞いをレポートしたパンフレットを拝見して、JTをのさばらしている国に住みながら有効な対策を取れないで居る非力さを悔しく思いました。
これから何をすべきか、これらの有効なタバコ対策の実践例を参考にしながら、皆さんと手を組んで進めてゆきたいと思います。
以前WHOの喫煙対策の会議に出たときに、アメリカからの出席者に「日本にはNGOは居ないのか。もっと頑張れ!」とはっぱをかけられてしまいました。自販機禁止をタバコ規制枠組み条約に入れることに関して足を引っ張っているのは、日本だそうです。JTをのさばらしておいては、世界中に迷惑がかかります。タバコの問題を痛感している私たち皆で力をあわせて、タバコのない社会を1日でも早く実現しましょう。
(1)石川はじめ、「オーストラリアの喫煙対策〜日本の現状と比較して〜」セミナー医療と社会第16号p92〜94、1999